ChatGPTの嘘をファクトチェックする簡単プロンプト

ChatGPTの登場により、私たちの情報収集や問題解決の方法は劇的に変わりました。
しかし、この便利なAIツールには一つの大きな問題があります。
それは「もっともらしい嘘」を平然と回答してしまうことです。

ChatGPTは膨大な知識を持っていますが、間違った情報を事実として提示することがあります。
特に複雑な計算や専門的な内容、最新の情報については注意が必要です。

この記事では、ChatGPTの回答を効果的にファクトチェックする実践的な方法をご紹介します。

なぜChatGPTは間違いを犯すのか

ChatGPTが間違える理由を理解することは、効果的なファクトチェックの第一歩です。
ChatGPTは大規模言語モデル(LLM)として、確率的に「次に来るであろう単語」を予測して文章を生成しています。

つまり、ChatGPTは質問の内容を論理的に分析して答えを導き出しているのではなく、学習データの中から統計的に適切と思われる回答パターンを選んでいるのです。
これは「むかしむかし…」の次に「おじいさんとおばあさんが…」が来る確率が高いのと同じ仕組みです。

このため、一般的な質問には強いものの、個別性の高い問題や複雑な計算、最新の情報については間違いを犯しやすくなります。
計算問題を例に取ると、ChatGPTは実際に計算をしているのではなく、「1+1=」の次は「2」が来る確率が高いと判断しているだけなのです。

基本的なファクトチェック手法

ChatGPTの回答をチェックする最も簡単な方法は、「検証プロンプト」を使うことです。
以下のようなプロンプトテンプレートを活用してみてください。

1. 反証プロンプト

プロンプト例:
「先ほどの回答について、反対の立場から検証してください。間違いや矛盾点があれば指摘してください。」

2. 情報源確認プロンプト

プロンプト例:
「この情報の信頼できる情報源を3つ挙げてください。また、この情報が間違っている可能性について言及してください。」

3. 複数視点プロンプト

プロンプト例:
「この問題について、異なる3つの専門分野の視点から分析してください。それぞれの視点で矛盾する点があれば指摘してください。」

CoTプロンプトによる詳細検証

より高度なファクトチェック手法として、「Chain of Thought(CoT)プロンプト」があります。
これは思考過程を段階的に示させることで、回答の精度を高める技術です。

例えば、単純に答えを求めるのではなく、「計算過程を示してください」「論理的な根拠を段階的に説明してください」といった指示を加えることで、ChatGPTの推論プロセスを可視化できます。

実例:
通常のプロンプト:「ケンは35個のチョコレートを持っていました。15個を友達にあげ、その後8個を買い足しました。ケンは現在何個のチョコレートを持っているでしょうか。」

CoTプロンプト:「ケンは35個のチョコレートを持っていました。15個を友達にあげ、その後8個を買い足しました。ケンは現在何個のチョコレートを持っているでしょうか。計算過程を示してください。

後者の方が明らかに正確な回答を得やすくなります。思考過程が見えることで、どこで間違いが発生しているかも特定できます。

実例から学ぶファクトチェック

実際のSNS投稿を例に、ファクトチェックの重要性を見てみましょう。

@mikami___01 結局3つ目知らないでウソつかれるんよね… #AI #AI生成 #AI活用 ♬ オリジナル楽曲 – みかみ@月商3億AI専門家

@yuna_tik_ ChatGPTがウソをつかなくなる設定 #ChatGPT #仕事術 #ai ♬ オリジナル楽曲 – ゆな|AI×TikTokラボ

この投稿は、多くのユーザーが実感している問題を指摘しています。
実際に、ChatGPTは複雑な計算や複数ステップを要する問題で間違いを犯しやすいという特徴があります。

また、別の視点からの投稿も参考になります。

これらの実例が示すように、ChatGPTの回答を盲信せず、適切なファクトチェックを行うことが重要です。

多角的検証テクニック

さらに高度な検証方法として、「Tree of Thoughts(ToT)プロンプト」を応用する方法があります。
これは複数の解答候補を生成し、それらを評価・比較することで最適な答えを見つける手法です。

ToT応用ファクトチェックの手順

1. 複数解答生成:
「この問題について、3つの異なるアプローチで回答してください。」

2. 解答評価:
「先ほどの3つの回答について、信頼性と論理性の観点から5段階で評価してください。」

3. 最終検証:
「最も評価の高い回答について、さらに詳細な検証を行い、改善点があれば修正してください。」

この手法を使うことで、単一の回答に依存せず、より信頼性の高い情報を得ることができます。

実践時の注意点とコツ

効果的なファクトチェックのポイント

1. 専門用語の定義確認
専門的な内容については、まず用語の定義から確認しましょう。
ChatGPTが異なる意味で用語を使用している場合があります。

2. 数値データの検証
統計データや数値については、必ず情報源を確認し、可能であれば公的機関のデータと照合してください。

3. 最新情報の注意
ChatGPTの学習データには期限があります。最新の情報については、必ず現在の情報源で確認することが重要です。

4. 論理的整合性の確認
回答全体を通して論理的な矛盾がないか、前後の文脈で一貫性があるかを確認しましょう。

Few-shotプロンプトの活用

複雑な問題については、「Few-shotプロンプト」という手法も有効です。
これは問題の解き方を例示してから本題に入る方法で、ChatGPTにより正確な回答パターンを学習させることができます。

例:
「Q: 市場に行ってリンゴを30個買いました。兄と兄の友人3人と妹に3つずつ配りました。その後5つ買い足し、自分で2つ食べました。手元にはいくつ残っているでしょうか?
A: 兄と兄の友人3人と妹の合計5人に3つずつ配り、自分で2つ食べたので、5×3+2=17個消費し、5個買ったので、30-17+5=18です。

Q: [実際に解きたい問題]
A:」

このように解答例を示すことで、ChatGPTがより正確な計算プロセスを学習し、間違いを減らすことができます。

継続的なファクトチェック習慣の構築

効果的なファクトチェックは一度きりの作業ではありません。以下のような習慣を身につけることで、ChatGPTをより安全に活用できます。

1. 重要な決定前の必須確認
ビジネスや学習で重要な判断をする前には、必ず複数の情報源で確認する習慣をつけましょう。

2. 段階的な質問テクニック
複雑な問題は一度に解決しようとせず、段階的に分解して質問することで精度を高められます。

3. 定期的な知識更新
自分の専門分野については常に最新情報をキャッチアップし、ChatGPTの回答と照らし合わせる基準を持ちましょう。

まとめ

ChatGPTは非常に強力なツールですが、完璧ではありません。適切なファクトチェック手法を身につけることで、この革新的なAIツールをより安全で効果的に活用できます。

今回紹介した手法を要約すると:

  • 基本的な検証プロンプト(反証、情報源確認、複数視点)の活用
  • CoTプロンプトによる思考過程の可視化
  • ToTプロンプトを応用した多角的検証
  • Few-shotプロンプトによる精度向上
  • 継続的なファクトチェック習慣の構築

これらの手法を組み合わせることで、ChatGPTの「嘘」を見抜き、より信頼性の高い情報を得ることができるでしょう。
重要なのは、AIを道具として適切に使いこなすスキルを身につけることです。

ChatGPTとの対話においては、常に批判的思考を持ち、複数の角度から情報を検証する姿勢を忘れずに活用していきましょう。

参考文献:
ChatGPTのCoT(Chain of Thought)とは?プロンプトエンジニアリング入門 – CodeCollege
ChatGPTでプロンプトエンジニアリングが必要な理由 – BlueLogic
ChatGPTで数ショットプロンプト(Few-shot prompting)を使った思考の連鎖(CoT)を試してみた – Qiita