個人情報漏洩の対策10選!AIによる不正アクセスの手口とChatGPT利用時の注意点

近年、企業への不正アクセスによって、氏名や住所、メールアドレスなどの個人情報が漏洩する事件が相次いでいます。

ショッピングサイト、SNSなどさまざまなサービスを利用する私たちにとって、個人情報の流出は決して他人事ではありません。さらに最近では、AIを悪用してサイバー攻撃を効率化する動きも確認されています。

「自分の個人情報も漏れているかもしれない」「普段から何をすれば安全なの?」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

個人情報の漏洩を完全に防ぐことは難しくても、万が一流出したときの被害を小さくするために、私たち自身ができる対策は数多くあります。

【この記事でわかること】
  • 最近の不正アクセスにAIが使われている実態
  • 個人情報が漏洩すると起こりうる被害
  • 今日からできる個人情報漏洩対策10選
  • ChatGPTなどの生成AIを利用する際の注意点
  • 自分の個人情報が流出した場合の対処法

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近年増えている個人情報漏洩問題とは?

個人情報漏洩とは、企業や個人が管理している情報が、本来アクセスする権限のない第三者に知られたり、外部へ流出したりすることです。

例えば、会員登録したサービスが不正アクセスを受け、登録していた氏名やメールアドレスが外部に流出するケースなどがあります。

2026年10月26日には、IPA(情報処理推進機構)が、国内のさまざまなオンラインサービスで情報漏洩事案の公表が相次いでいるとして、消費者向けに注意喚起を行いました。

その背景には、企業のシステムの弱点を悪用する攻撃や、外部委託先などを経由した不正アクセスがあります。

最近の不正アクセスにはAIが使われている?その手口とは

ChatGPTなどの生成AIが普及する一方で、AIをサイバー攻撃に悪用する動きも確認されています。

ただし、AIそのものが不正アクセスを引き起こすわけではありません。AIは本来、文章作成や情報整理、プログラミングなどを支援する技術ですが、その能力を悪用する攻撃者も存在するということです。

AIはサイバー攻撃にどのように悪用されている?

生成AIが悪用される主な場面として、次のようなものがあります。

AIの悪用方法 具体的な内容
詐欺メールの作成 従来に比べてより自然な文章で偽の案内メールを作成する
攻撃対象の情報収集 公開情報を収集・整理して攻撃の準備に利用する
システムの弱点の調査 プログラムやシステムの構造を分析する
不正プログラムの開発支援 攻撃用プログラムの作成や修正を効率化する
攻撃作業の自動化 複数の作業をAIで連携・自動化する

Googleなどのセキュリティ調査では、攻撃者がAIを活用して作業を効率化する実態が報告されています。こうした技術の悪用によって、攻撃が増加し、漏洩につながっているのがサイバー攻撃の実態です。

日本国内でもAIによる攻撃の高度化が懸念されている

2026年10月13日、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、「A2B攻撃(App-to-Backend Attack)」と呼ばれる手法について注意喚起しました。

これは、一般公開されているスマートフォンアプリを解析し、そのアプリが接続するサーバの仕組みを調べて、システムの弱点を狙う攻撃です。

AIの活用によってアプリ解析や脆弱性の発見が効率化され、同様の攻撃が広がる可能性も指摘されています。
つまり、PCだけではなくスマホも同様に不正アクセスされる危険性があるということです。

個人情報が漏洩するとどうなる?考えられる被害

情報が流出しても、必ず被害が発生するわけではありません。ただし、漏洩した情報の種類によっては、次のようなトラブルにつながる可能性があります。

流出した情報 考えられる被害
メールアドレス 迷惑メールやフィッシング詐欺の増加
電話番号 詐欺電話や不審なSMSからの連絡
氏名・住所 なりすまし連絡、不審な郵便物
ID・パスワード アカウントの乗っ取り、不正アクセス
クレジットカード情報 不正クレカ利用
本人確認書類 なりすまし契約などへの悪用

例えば、メールアドレスが流出しただけで、直ちに銀行口座からお金が引き出されるわけではありません。しかし、氏名や電話番号などと組み合わせて利用されると、より重大な詐欺や不正被害につながる可能性があります。

個人情報漏洩の怖さは、情報が流出すること自体に加えて、その情報が後から別の犯罪に悪用される可能性がある点です。

個人情報漏洩の対策10選!今日からできる予防策

こういったリスクを防ぐために、今日から実践できる情報漏洩対策を10個紹介します。難しい設定や特別なソフトが必要ないので、できるものから始めてみましょう。

【まずはこの3つから】
  • サービスごとに異なる長いパスワードを使う
  • 重要なアカウントに多要素認証・パスキーを設定する
  • 不審なメールやSMSのリンクからログインしない

① 同じパスワードを使い回さない

最も重要な対策の一つが、パスワードの使い回しをやめることです。

複数のサービスで同じパスワードを使用していると、1つのサービスから認証情報が漏洩した際、別のサービスにも不正ログインされる可能性があります。

特に、銀行、メール、ショッピングサイト、SNSなどでは、サービスごとに異なる長いパスワードを設定しましょう。覚えるのが難しい場合は、信頼できるパスワード管理ツールを利用する方法もあります。

iPhoneなどでは自動パスワード作成機能もあるので活用してみましょう。

② 多要素認証やパスキーを設定する

多要素認証とは、パスワードだけでなく、スマートフォンや認証アプリなどを組み合わせて本人確認を行う仕組みです。顔認証とか。

万が一パスワードが漏洩しても、第三者によるログインを防ぎやすくなります。また、パスキーに対応したサービスでは、端末の認証機能などを使ってログインできます。

不正アクセスを防ぐために効果的なので、まずは、メールアカウント、銀行、SNSなどの重要なサービスから設定を確認してみましょう。

③ メールアドレスを用途別に使い分ける

すべてのサービスで同じメールアドレスを使用している方は、用途ごとに使い分けることも検討しましょう。

用途 利用するサービス
重要な契約用 銀行、証券会社、金融サービス
ショッピング用 ECサイト、ネット通販
会員登録・応募用 キャンペーン、懸賞、メルマガ

メールアドレスを使い分けることで、迷惑メールを整理しやすくなり、どの用途のアドレスに不審な連絡が増えたのか把握しやすくなります。メールのエイリアス機能を利用する方法もあります。

ただし、メールアドレスの使い分けだけで情報漏洩を防げるわけではありません。パスワードの管理や多要素認証と組み合わせて利用しましょう。

④ 使っていないサービスから退会する

過去に登録したものの、現在は使っていないサービスはありませんか? 不要なアカウントを整理することで、個人情報を預けるサービスの数を減らせます。特に、過去のキャンペーン応募や一度しか利用していないサービスなどは、定期的に見直すとよいでしょう。

ただし、退会後も情報を保持している会社もあるので、退会前に項目を修正してみることも検討ください。

⑤ 必要以上の個人情報を登録しない

会員登録の際、任意項目まで入力していませんか? サービスによっては、生年月日、住所、電話番号などが任意項目になっている場合があります。

登録前に、本当にその情報を入力する必要があるか確認しましょう。また、懸賞やキャンペーンへ応募する際には、運営会社や個人情報の利用目的を確認することも重要です。

一方、本人確認やサービス提供に必要な情報については、正しい情報を登録する必要があります。

⑥ クレジットカードの利用通知を設定する

クレジットカードの不正利用に備えて、利用通知を有効にしておくことをおすすめします。

カード会社によっては、決済が行われるとメールやアプリに通知が届くサービスがあります。通知を設定することで、身に覚えのない利用に早く気づける可能性があります。

あわせて、利用明細を定期的に確認しましょう。不審な利用があった場合は、カード会社へ速やかに相談してください。

⑦ 不審なメールやSMSのリンクを開かない

銀行、宅配業者、ECサイトなどを装ったメールやSMSには注意が必要です。

特に、「アカウント停止」「未払い料金」「本人確認が必要」など、急いで対応するよう促す内容には警戒しましょう。本物の企業名やロゴが使われている場合もあります。

通知を受け取った際は、メール内のリンクからアクセスせず、公式アプリや事前に登録したブックマークから確認することをおすすめします。

⑧ スマートフォンやアプリを最新の状態に保つ

スマートフォンやパソコン、アプリのアップデートには、セキュリティ上の問題を修正する内容が含まれている場合があります。

古いバージョンを使い続けると、すでに知られている弱点を悪用される可能性があります。OSやアプリの自動更新を設定し、日頃から最新の状態を保ちましょう。

また、公式ストア以外からアプリをインストールする際も慎重に判断してください。

⑨ SNSで個人情報を公開しすぎない

SNSの投稿内容から、意図せず個人情報が知られてしまう場合があります。

例えば、写真に写り込んだ住所表示、最寄り駅、勤務先などの情報が手がかりになる可能性があります。また、日常的な投稿を組み合わせることで、生活圏や行動パターンを推測される場合もあります。

投稿する前に、公開して問題のない情報か確認することが大切です。

⑩ 自分のメールアドレスが流出していないか確認する

メールアドレスの漏洩状況を調べたい場合は、Have I Been Pwnedなどのサービスを利用する方法があります。

Have I Been Pwnedは、過去に確認された情報漏洩事案に、自分のメールアドレスが含まれていないかを検索できるサービスです。

ChatGPTなどの生成AIを利用する際の注意点

ChatGPTなどの生成AIは、文章の作成や調べ物、仕事の効率化など、さまざまな場面で活用されています。便利な一方で、入力する情報や利用設定について理解しておく必要があります。

ChatGPTに個人情報をそのまま入力しない

ChatGPTに相談するときは、必要以上の個人情報を入力しないことが大切です。

特に、次のような情報の入力は避けることをおすすめします。

  • 氏名、住所、電話番号などの詳細な個人情報
  • パスワードや認証コード
  • クレジットカード番号や金融サービスの認証情報
  • マイナンバーカードや運転免許証の画像
  • 他人の個人情報
  • 会社の顧客リストや機密資料

例えば、家計について相談したい場合、氏名や住所などを伝えなくても、収入と支出の大まかな金額だけで回答を得られることがあります。

文章を添削してもらいたい場合も、個人名や企業名を仮の名称に置き換える方法があります。ただし、仮名に変更しただけでは、ほかの情報から本人を特定できる場合もあるため注意が必要です。

ChatGPTのデータ管理設定を確認する

ChatGPTには、会話内容をモデルの改善に使用するかどうかを管理する設定があります。個人向けのChatGPTを利用している場合は、次の手順で確認できます。

  1. ChatGPTの「設定」を開く
  2. 「データコントロール」を選択する
  3. 「すべての人のためにモデルを改善する」を確認する
  4. 必要に応じてオフにする

設定をオフにすると、原則として対象となる新しい会話はモデルの改善に使用されなくなるので、よりプライベートになります。

一時チャットを活用する

ChatGPTには「一時チャット」という機能があります。一時チャットは、通常のチャット履歴に表示されず、モデルの改善にも使用されません。

ただし、安全上の目的などで最大30日間保持される場合があります。一時チャットであっても、重要な個人情報やパスワードを入力してよいという意味ではありません。

メモリ機能を確認する

ChatGPTには、過去の会話などを参考にして、利用者に合わせた回答を行うメモリ機能があります。

どのような情報が回答に利用されるのかを確認しておくことも重要です。「設定」から「パーソナライズ」「メモリ」の順に確認できます。利用できる設定は、プランやアカウントによって異なる場合があります。

なお、メモリをオフにしても過去のチャット履歴が自動的に削除されるわけではありません。

会話の共有リンクに注意する

ChatGPTでは、会話の内容をほかの人に共有できる機能があります。個人アカウントで作成した共有リンクは、URLを知っている人が共有された内容を閲覧できます。

そのため、共有する前に、個人情報や公開したくない内容が含まれていないか確認しましょう。また、モデル改善の設定を変更しただけでは、既存の共有リンクは削除されません。

AIと連携する外部サービスにも注意する

ChatGPTなどでは、外部サービスとの連携機能を利用できる場合があります。こうした機能を利用すると、設定や操作内容に応じて、外部サービスに情報が送信されることがあります。

連携する際は、サービスの提供元、アクセス権限、送信される情報などを確認しましょう。不要になった連携を見直すことも大切です。

AIの回答をすべて正しいと考えない

ChatGPTなどの生成AIは、誤った情報をもっともらしく回答する場合があります。

特に、セキュリティに関する設定方法や最新の情報漏洩事件について調べる際は、企業の公式サイトや公的機関の情報も確認しましょう。AIは便利な情報収集の補助ツールですが、最終的な判断には信頼できる情報源の確認が必要です。

個人情報が漏洩したらどうする?流出した情報別の対処法

もし利用しているサービスから情報漏洩の連絡が届いた場合は、まず公式サイトなどで事実関係を確認しましょう。漏洩した情報によって、必要な対処は異なります。

ID・パスワードが流出した場合

該当サービスのパスワードを速やかに変更しましょう。同じパスワードをほかのサービスでも使っている場合は、そちらも変更が必要です。

また、多要素認証を設定し、不審なログイン履歴がないか確認してください。

メールアドレス・電話番号が流出した場合

配信メールや着信にフィッシングメールや詐欺電話、不審なSMSが含まれる可能性があるので注意しましょう。メールアドレスが漏洩しただけで、必ずしも変更する必要があるわけではありません。

ただし、不審な連絡が増えた場合には、迷惑メール対策やアドレス変更を検討してもよいでしょう。

クレジットカード情報が流出した場合

カード会社へ連絡し、利用停止や再発行の必要性を確認しましょう。あわせて、不審な決済がないか利用明細を確認することが大切です。

本人確認書類の画像が流出した場合

運転免許証などの本人確認書類が流出した場合には、なりすましによるサービスやローンの契約や登録などへの悪用が懸念されます。状況に応じて、書類の発行元や関係機関へ相談しましょう。

また、信用情報機関が提供する本人申告制度の利用も選択肢の一つです。本人申告制度は不正な契約を必ず防げる仕組みではありませんが、本人確認時の注意喚起に役立つ場合があります。

情報漏洩の連絡が本物か確認する

企業から情報漏洩のお知らせが届いた場合、その連絡自体が偽物である可能性にも注意しましょう。

詐欺メールが情報漏洩事件を話題にして、偽サイトへ誘導するケースも考えられます。メール内のリンクに頼らず、公式サイトや公式アプリから案内を確認することが重要です。

個人情報漏洩が心配な場合の相談先

被害が疑われる場合や、どのように対処すべきかわからない場合は、以下の窓口への相談を検討しましょう。

相談先 主な相談内容
IPA情報セキュリティ安心相談窓口 不正アクセスなど情報セキュリティに関する相談
消費者ホットライン「188」 消費生活上のトラブルに関する相談
警察相談専用電話「#9110」 犯罪被害が疑われる場合などの相談
カード会社・金融機関 不正決済・不正送金などの被害

金銭的な被害が疑われる場合は、相談窓口への連絡に加えて、カード会社や金融機関へ速やかに連絡しましょう。

個人情報漏洩に関するよくある質問

Q. 個人情報が流出したかどうか、自分で確認する方法はある?

メールアドレスについては、Have I Been Pwnedなどのサービスを使って、既知の情報漏洩事案に含まれているか調べる方法があります。ただし、すべての流出情報を確認できるわけではありません。利用サービスからの公式案内もあわせて確認しましょう。

Q. メールアドレスが流出しただけなら問題ない?

メールアドレスだけで直ちに不正ログインされるとは限りません。ただし、フィッシング詐欺や迷惑メールの送信先として悪用される可能性があります。パスワードの使い回しを避け、多要素認証を設定しておきましょう。

Q. 個人情報が漏洩したら、すべてのパスワードを変更するべき?

必ずしもすべてのパスワードを変更する必要はありません。まず漏洩した情報を確認し、パスワードが流出したサービスや、同じパスワードを使用しているサービスを優先して変更しましょう。

Q. ChatGPTに入力した個人情報は必ず流出する?

ChatGPTに入力した情報が必ず外部へ流出するわけではありません。ただし、情報の保存や利用の方法は、プランや設定、利用する機能によって異なります。必要以上の個人情報を入力せず、プライバシー設定を確認することをおすすめします。

Q. ChatGPTの学習設定をオフにすれば完全に安全?

学習設定をオフにすることは、会話内容の利用を管理するうえで有効な方法です。ただし、あらゆる情報管理上のリスクがなくなるわけではありません。入力内容や共有設定、外部サービスへの連携などにも注意しましょう。

Q. ChatGPTのチャットを削除すると情報も完全に消える?

削除した通常のチャットは、原則として30日以内にOpenAIのシステムから完全に削除される予定です。ただし、法的義務やセキュリティ上の理由などによる例外があります。また、チャットとは別に保存されたファイルやメモリなどは、別途確認・削除が必要になる場合があります。

Q. AIによって個人情報漏洩は増えている?

AIをサイバー攻撃に悪用する事例は確認されており、攻撃の効率化や高度化が懸念されています。一方で、国内の個人情報漏洩事件が増えている原因をAIだけに求めることはできません。システムの脆弱性、認証情報の管理、外部委託先への攻撃など、さまざまな要因があります。

まとめ|個人情報は「漏洩を防ぐ」と「漏洩に備える」の両方が大切

企業への不正アクセスや個人情報漏洩は、自分が注意しているだけでは完全に防げない場合があります。さらに、AIの悪用によって一部のサイバー攻撃が効率化されるなど、インターネット上のリスクも変化しています。

「どうせもう流出しているから」とあきらめずに対策を行い、「もし流出しても被害を最小限に抑えられるようにする」という考え方を持つことも重要です。

【まず見直したい5つのこと】
  1. パスワードを使い回さない
  2. 多要素認証やパスキーを設定する
  3. 不必要な個人情報を登録しない
  4. 不審なメールやSMSのリンクを開かない
  5. ChatGPTなどのAIに重要な個人情報を入力しない

すべての対策を一度に行う必要はありません。まずは、普段使っているメールアカウントのパスワードや認証設定を確認するところから始めてみましょう。

小さな対策を積み重ねることが、個人情報を守り、万が一の被害を減らすことにつながります。

参考資料

本記事は2026年11月4日時点の情報をもとに作成しています。設定画面やサービスの仕様は変更される場合があります。

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